会社帰りに夜のスーパーでおかずを買って帰るのが日課になっている。そうなると行きつけの店が何軒か決まってきて、店員さんやパートさんの顔も知らず知らず覚えてくる▼レジでは、係の人が買い物かごから商品を取って値段を読み上げながらレジ打ちをし、それを別のかごに移すのだが、その一連の動作が圧倒的に速く、リズミカルなパートさんがいる。他の客が彼女の〝名人芸〟をどう見ているかわからないが、抄子は彼女のレジに並ぶのを楽しみにしている▼あるいは、小銭を落とさないようにとの配慮から、客の手のひらを自分の両手で挟むようにして釣り銭を渡すパートさんがいる。大事にされているようで、これも客にとってはうれしい▼パートさんとはいえ客と直接接する店の顔だ。マニュアルにないパートさん個人の気持ちがこもった接客態度は店のイメージアップになるに違いない。レジ係に限ったことではない、プロのいいお手本を見た思いだった。
片隅抄