いわき市は1日、誕生45周年を迎えた。多くの市民が「いわき市」で育った世代となり、その広さを当たり前に受け入れてきた人々が今のいわきの担い手でもある▼いわきは、14市町村の合併による「広域多核都市」として歩んできたため、常に地域ごとの自然環境や産業、文化、住民意識の違いなど、さまざまな課題への取り組みが不可避だった。そして今、震災復興という最重要課題を前に、より一層それぞれの「地域」について、真剣に向き合うべき時だと感じている▼しかし合併により、これまでも市全域を俯瞰する必要性から、地域特性を最優先できなかったケースもある。「若者や子どもたちが、地域のことを学習する場も機会も少なくなってしまった」との指摘もいなめない▼そこで、地域で暮らす先達にお願いしたい。震災で地域の宝が存亡の機にある今こそ、それぞれの「わがまち」を、未来を託す子どもたちに、積極的に語ってはいただけないだろうか。
片隅抄