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片隅抄

2012.03.16

去る10、11日の両日、岩間町で行われた「なこその希望『鎮魂祭』」に足を運んだ。初日は風雨に見舞われたが被災住民を元気づけようと、多くの出演者がステージに立った▼海岸沿いにある同町。昨年3・11に発生した大地震による津波は、頑丈と思われた防波堤をいとも簡単に破壊。多くの住宅をのみこみ、人命を奪った。あれから1年、かろうじて倒壊を免れた住宅が数軒あるだけだ▼鎮魂祭2日目では追悼式が行われた。当初、イベント趣向にやや疑問を感じたが、きっちりとけじめをつけた気がする。午後2時すぎ、パワフルな女性ボーカルが降壇したあと、僧侶の「声明」が響き渡ると会場が静まり返った▼地震発生時刻が近づくにつれ、ほとんどの来場者が低頭、合掌。祈りを込め地面に膝まずく人たちの中には、泣きはらす若い外国人女性の姿もあった。他国の惨劇をわが身に受け入れてくれたのか。痛みを分かち合い、悲しみを共有した厳粛な一瞬だった。

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