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片隅抄

2012.12.03

草野心平の詩集の1つに『第四の蛙』がある。その中の「ぱっぷくどん」という作品が目に留まった▼うたた寝から覚めたぱっぷくどん(蛙)は、側に大人物を発見、踏まれて命を取られると覚悟し、今生の見納めにと目を大きく開くと、今まで気付かなかったいろいろなものが見え「しまった」と思う。しかし次の瞬間、大人物の姿は消え、ほっとしたぱっぷくどんは「生まれて初めて平和の実体を知った」と感じる▼最後にぱっぷくどんは、きらめく光やぬくい雲を感じながら「ああ。せいせいする。」と言うのだが…究極に来て本質が分かるということは、よくある。それを知った上で、命拾いしたぱっぷくどんには新たな未来が開けたと思う▼しかし今、私たちの周りには、ぱっぷくどんになれなかった人々が多数いる。命はあれど大人物に踏まれ傷を負った―震災や原発事故で多くを失った人々だ。そこを救うのが誰かは言うまでもない。明日、衆院選が公示される。

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