震災前、アリオスで、ある演歌歌手のコンサートがあった。そして翌日、そのバックバンドのメンバーで、私の先輩でもある人が市内のライブハウスでライブを行った▼飛び込みのライブのため観客は数えるほどだったが、その中に熱心に耳を傾けてくれた初老の婦人がいた。意気投合し、ステージ上でいろいろな話で盛り上がった▼そして大震災、大津波。自宅が海のすぐそばだと聞いていたことを思い出し、ネット上のありとあらゆる情報を駆使し、健在だと言うことまでは突き止めた。どうしても、もう一度会いたいと思っていた彼は後輩の私に助けを求めてきた。そして、いくつかのキーワードをもとに現在、仮設住宅にいるその方を捜し出した。ライブで会っただけの縁でここまで心配して捜してくれている。きっと、彼女も嬉しかったに違いない▼彼の名は、池間史規。19日、街中コンサートに出演する。そこで、念願の再会を果たす。まさに「絆」を実感する瞬間だ。
片隅抄