2月14日に開幕し、2カ月超。いわきFCの選手、スタッフは当然ながら、サポーターも喉から手が出るほど渇望してきた今季初白星。それも10番を背負うエースストライカーの谷村海那が手繰り寄せた。勝利の美酒はさぞ格別だったに違いない▼今季前に苦戦は予想していたが、まさかこれほどとは思わなかった。J2は「魔境」と評されるが、降格組、特に札幌が苦戦を強いられていることからも、例年にも増して実力が伯仲していることが分かる。富山戦も攻守に課題は多かった。まさに薄氷の勝利だ▼厳しい台所事情は続いている。スタメンが定着しない。適材適所を見つけるのに苦心しているのが外部からも見て取れる。采配は別として、〝らしさ〟をみせるのが難しい▼大倉智氏が現役時代に薫陶を受けたカレッカのような、試合をひっくり返す助っ人はいない。だからこそいい。苦しんで苦しんで理想のいわきを見つけてほしい。そしてJ1に行ければ最高だ。
片隅抄