人さまの懐具合が気になるわけではないが現金詐欺被害が報じられるたび、所持金の多さに驚く。贅沢もせず、大切に貯蓄したのだろう▼ここを巧みにつく犯罪者集団がいる。家族になりすましては無心の電話を繰り返す。「現金入りのかばんを紛失した」「女性問題が起きた」「入院費用に金がかかる」など、肉親を思う心理に付けこむ▼市内では昨日までに女性が現金840万円、男性が200万円をだまし取られた。2件とも息子、甥を名乗る男が被害者宅に電話をかけ、かばん、財布を失くしたなどと切羽詰まった内容を告げ、第三者に渡すよう仕向けた▼一連の詐欺事件では未遂もあった。錦町の男性が息子を名乗る男の電話を信じ、郵便局から払い戻し手続きをする寸前、不審に思った局員が警察に通報し被害を未然に防いだ。訓練のたまものだが、呼び出され渡してしまう事案にはなすすべもない。せめて防犯カメラの効力に期待するしかないのか。