大地震に見舞われ、5000人を超す犠牲者が出ているネパール。以前、友人が新婚旅行に訪れている。「着いた途端、物取りに襲われた」「ホテルで飲んだ紅茶がとてもうまかった」などと話を聞いたものだ▼アクセスも良くなく、治安も安定していない国をなぜ選んだのか。ひとつに明治期、仏典を求めてネパールから鎖国の厳しいチベット入りした河口彗海(1866~1945)の影響があるらしい▼こちらはそれほど高尚な理由はないが支社勤務時代、南地区にあるネパール料理店に時折通った。メニューはインド料理と大差はないように思えたが、カレーは口に合った。マスターはもちろんネパール人で流暢な日本語を話した▼聞けば母国でツアーコンダクターをしていたという。めったに里帰りもしないと言っていたが、この国難に心中穏やかではないはず。マスター本人も東日本大震災を体験した。母国にいる親族の消息に心を痛めているだろう。