日本漢字能力検定協会から今年の漢字「北」が発表された。その年の世相を漢字一字で表せば、という年末の恒例行事で広く国民に公募した▼結果、北朝鮮のミサイルや九州北部豪雨を挙げた人が多かった。安倍首相は「挑」。北の脅威などこの国難に挑むため総選挙に挑んだ年だからと、選んだ理由を説明した▼国難というがそれに対処する政治家の資質が問題視され、首相本人も森友・加計問題の疑惑隠しを追及されたりと、こういった一連のことが政治不信を招き、総選挙につながったのではないか。また、景気は回復というが、地方では回復を実感できないばかりか、被災地では震災特需が終わる復興後の停滞感を心配する声が聞かれる▼今から来年末の話をすると、鬼に笑われるが抄子の中では来年の漢字は「暗」だ。増税の年を迎え、庶民の生活を直撃。安倍1強時代が続き、政治も暮らし向きも閉塞感に包まれる。ただ、抄子の杞憂に終わることを願いたい。
片隅抄