先日、300万円の札束を手にする機会があった。たかが300万円ぐらいでと見る人もいよう。が、安月給の身では、きれいに帯封で束ねられた手の切れるようなお札を見て切なくなった▼キャッシュレス時代である。実際に紙幣を見ることも触れることもなく、カードや帳簿上の数字だけで何千万、何億円というお金が動く。そんな中で、福島市の「サン・チャイルド」像騒動は実にぶざまだった▼〝復興の象徴〟という聞こえのよい言葉に判断を誤った市長が給与減額したくらいで済む問題か。市議会は何をしていたのだろう。設置と撤去の費用に数百万もの血税を無駄にして、『こむこむ』の玄関前には何も残らなかった▼同等額の1万円札を玄関前の設置跡に貼って市民に見てもらうがいい。そして、そのお金があればほかに市民のために何ができたか挙げてみる。お金の大切さ、ありがたさ。ドラマ『北の国から』の、泥のついた1万円札のエピソードを思い出した。
片隅抄