1日付で掲載した、市民による人命救助。話を見聞きするのと、実際に救助現場に立ち会うのとでは当然ながら緊迫感の度合いが違う。6人が役割を分担し迅速かつ適確に対処した、その行動と勇気はたたえられてしかるべきだ▼20年以上、災害や火災、事故現場で数多くの生き死にに接してきた。救助のスペシャリストたちの見極めの凄まじさ、勇猛果敢さを前にし、時に自身や仲間の命をも危険にさらす現場では「一瞬で冷静に判断できるか」が重要であることを学んだ。一朝一夕で身に付くものではない▼相次ぐ自然災害などを教訓に自主防災組織や学校、事業所を対象とした講習会や周知の成果か、心肺蘇(そ)生法など緊急時の対処方法について、市民の理解と関心は高まっている。今回の救助は象徴的な出来事だろう▼ただ、コロナ禍で人工呼吸を行わないなど、要救助者への接し方が変わったのは知られていないようだ。詳しくは厚労省のホームページなどを参考に。
片隅抄