北洋サケマス漁業が盛んだった昭和50年代、港町・江名には駄菓子屋が点在していた。港のそばにあった店は「大判焼き」が名物だった。全国で呼び名が異なるこの和菓子。物語が佳境を迎えたNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」では、第2部の主人公るいが焼く「回転焼き」として、京都の商店街で愛されている▼るいの「回転焼き」は母安子から継いだあんこのみだが、その駄菓子屋では定番のあんこよりも、クリームが漁に出た父を待つ子供たちの人気だった。漁船が北洋から締め出され、江名漁港は衰退。時を同じく、駄菓子屋も姿を消した▼文化庁は地域に根付く食文化を「100年フード」と名付け、PRする新制度を開始。いわきからメヒカリの唐揚げ、サンマのポーポー焼き、サンマのみりん干し、あんこうのどぶ汁が認定された▼いわき市民にとっては、いずれもなじみの郷土料理。これからの100年を見据え、コロナ禍後の誘客につなげてほしい。