敗戦が濃厚となった8月9日、ソ連は日本との領土不可侵などを約束した日ソ中立条約を破棄し、満州に侵攻した。玉音放送が流れ、ポツダム宣言受諾後も南進は止まらない。北海道を狙い戦火は千島列島へ▼スターリンの野望を打ち砕いたのが、〝戦車隊の神〟と謳われた戦車第11連隊の池田末男陸軍大佐。池田は「赤穂浪士となり恥を忍んでも仇を報ずるか、あるいは白虎隊となり民族の防波堤となるか」と部下に問いかけ、自衛のため列島北端の占守島で熾烈な抵抗を続けた▼戦況は日本優勢で、この間にアメリカ軍が北海道に進駐。この奮戦がなければ、北海道はドイツや朝鮮半島のように分断されただろうといわれている▼ロシアのウクライナ侵攻に終戦前後の日ソ衝突を重ねる。決して対岸の火事ではなく、今も続く脅威として認識する必要がある。東日本国際大が宇避難学生を受け入れる。同じ苦難を味わった同士、率先し手を差し伸べる姿に賛美を送りたい。
片隅抄