NHKの番組に「映像の世紀」がある。加古隆さん作曲の重厚なテーマ音楽のもと、繁栄と大戦、冷戦後の紛争などがカラー、モノクロで紹介。およそ20年前から放送され、最近ではバタフライエフェクトとして、個々に絞り込んだ内容になっている▼特にリアル感がある回は独裁者ヒトラー登場後の次に放送された「世界は地獄を見た 無差別爆撃、ホロコースト、原爆」。このうち解放されたユダヤ人強制収容所の生々しい中身がカラーで再現され、その悲惨な状況が映し出された▼連合軍の指示で半ば強制的にその現状を見せられるドイツ人。顔を覆い嘆く姿が映像に残る。ナレーションでは「知らなかった」とする声に「いいえ、あなたたちは知っていた」と結ぶ▼先日、本市の大学に留学したウクライナ避難学生の話を聞いた。ロシアの軍事侵攻さらされる母国でのことを「悪夢だ。すべての機会がなくなった」と。地獄に似た体験をした彼らの重い言葉だった。