64歳の愚息が老母の面倒を見るのは、まだ老老介護というには早すぎるだろうが、それでも毎日のこととなると決して楽ではない▼昨日は94歳の誕生日だった。辛うじて自分で用を足したり、震えながらも箸を持って食事をとれるので助かるが、パーキンソン病を患っていることから、体を動かす機能が少しずつ衰えている▼呼びかけへの反応も鈍ってきている。ぜいたくはできなかったが、(もしかしたら最後になるかもしれない)誕生日、好物のいちごショートを添え、ほんの少し奮発して作った夕食の意味をわかってくれただろうか▼ちょうど1年前に他界した父は、面会できないコロナ禍の中で1年以上も老人介護施設で過ごし、そこが終の棲家となったから死を実感できなかった。母を抱くのは今でも何だか照れくさいが、父にはできなかった恩返しの親孝行をどれだけできるか。それでも「ありがとうな」と言ってくれる。来年は豪華な夕食にしたいのだが……。