「新しいスタジアムは必要なの?」。つい先日、年配の女性と雑談していたところ、自然と話題はいわきFCに。さほど関心はないが、連日のように報道されているから何となく水を向けた、そんな感じだった▼おらがマチにプロチームが生まれても、興味がなければ目に入らない。どの分野でもそう。秀逸な美術・工芸品を見ても心にとめなければ味気なく映る。女性は無表情でつぶやいた。「だって弱いんでしょ?」▼いわきFCは復興支援を原動力に、〝スポーツを通じた社会価値の創造〟をビジョンに掲げる。単純な勝ち負けにこだわらない姿勢を貫いているが、大倉智氏を筆頭に長く勝負の世界で戦ってきた猛者たちだ。今の成績に甘んじる訳にはいかない、のが本音だろう▼整備に向けた検討会が始動した。単に競技場ではなく地域課題を集約する〝ラボ〟の場でありたいという。理想は高く、ただ説得力を高めるためにも結果は残したい。
片隅抄