17年ほど前のことと記憶している。環境問題に関する専門家が市内の小学校を訪れ、気候変動に伴う身近な環境変化について講義を行い、家庭からできる対策を必死に訴えた▼鬼気迫る表情に抄子も心を動かされ、原稿に落とすため資料や文献を読み漁り署名記事で専門家の取り組みを掲載した。海面上昇で国土消失の危機が叫ばれているフィジー諸島を紹介したところ、意外にも身内から横やりが入った。いま取り上げるは環境問題ではないと。その程度の認識だった▼1997(平成9)年の京都議定書採択以降、2000年代に入り温室効果ガス対策がしきりに議題に上がり、わが国でも「脱炭素社会の実現」に向けた動きが加速している▼目を背けた結果かどうかは分からない。地球温暖化への議論も多々ある。ただ今夏は経験をしたことのない酷い暑さが続き、紙面にも観測史上初といった言葉が並んだ。ふと、必死に児童へ訴える専門家の熱い眼差しを思い出す。