2023年の本紙発行もきょうが最終日。きのう、きょうの2日間で「いわきこの1年」と題し、いわき市の今年1年を振り返った▼特に印象に残っているのは、東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水について、8月に始まった海洋放出だ。政府と東電は2015年、県漁連と「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」との約束を交わしており、その動向が注目された。現時点で問題は起きていないが、結局は漁業者が反対したまま、海洋放出は開始された▼ありがたいことに消費者は正しく情報を理解した上、常磐ものを応援しようと、いわき市のふるさと納税の寄付が大きく伸びた。これは予想していなかった動きだろう▼ただ県漁連の野﨑哲会長が言うように、今後も緊張感を持って海洋放出を継続する必要がある。一度失った信頼を取り戻す難しさは、原発事故で身に染みた。来年も、そして完了する日まで問題がないことを切に願う。