土曜日午後７時半からＮＨＫ総合で放送してきた「ブラタモリ」が３月いっぱいで終了する▼放送開始は２００８年。街歩きの達人タモリさんがブラブラ歩きながらその土地の魅力を紹介する番組で、単にキレイな風景や現地のうまい食べ物を紹介する物見遊山でなく、現在につながる歴史の流れを掘り下げ、坂道や崖、縁などの地形・地質に詳しいタモリさんらしい切り口が新鮮だった▼旅番組の老舗に１９７０年放送開始の「遠くへ行きたい」がある。スタート当初は、同名の本の著者で１年が旅暮らしの永六輔さんが担当。各地の風土や歴史に根ざした内容だったが、観光やグルメを取り入れようとするスタッフに嫌気がさして降板した▼今の旅番組の多くがまさにバラエティー化し、タレントがロケ隊を引き連れて大仰な声と身振り、稚拙な表現で旅先に乗り込んでいく。もっとも、迎える方もＰＲになるから受け入れるのだが…。硬派の番組が消えるのはさみしい。
