東日本大震災から１３年を迎えようとしている。思い出すのも厭な気分になるのだが、あの出来事を体験した世代としては、次に伝えていく義務があると思う▼昭和４０年代、「戦争を知らない子供たち」というフォークソングが流行した。当時、国内で激化した学生運動、ベトナム戦争反対など社会情勢を反映した感があり、テレビやラジオから流れる曲を随分と耳にしたものだ▼先日、震災関連のためある高校生らを取材した。地震発生時を聞いてみると「保育園にいた」「家で寝ていた」などと、おぼろげな記憶しかなかった。未就学の２～３歳では仕方がない▼家族構成については「父母と妹がいたかな。でもまだ産まれていなかった」と、まだ見ぬきょうだいがいたことも話してくれた。「震災を知らない子どもたち」が少しずつ増えていくだろう。体験を声高に語るより、能登半島地震など、不意の災害が起き得ることを心に留めてもらうことが大切かもしれない。
