名優ハンフリー・ボガートの主演作に『デッドラインUSA』(1952年)がある。日本での公開はずっと遅い84(昭和59)年。在京時、劇場に足を運び、大手新聞社「ザ・ディ」の編集長役として紙面作りに采配を振るうボガートの好演を目にした▼後年、DVDで所有できたため、見返すたび当時の米国メディアの最前線が確認できる。ストーリーは突然の新聞社の売却話から始まる。創業者の女婿が画策、他社に併合され廃刊の危機に直面する▼そのさなか、訪ねてきた記者志望の若者に「新聞は世の中で最高の専門職だ」「その使命は公益のために働くということさ」と言って聞かせる編集長。だが努力もむなしく最終日、渾身のスクープを放ち役目を終えた▼78年前の2月5日、旬刊から始まった「いわき民報」。5月から夕刊に切り替え、以降きょうまで続いた。あすからは朝刊発行になるが創刊の辞はぶれることなく「公共公益のため」、紙面をお届けする。