小学低学年で地区が運営するソフトボールチームに入り、学校が終わると家にランドセルを放り投げすぐグラウンドへ。土まみれになりながら暗くなるまで白球を追い続けた▼夢はプロ野球選手。憧れは福島が生んだ『スーパースター』読売巨人軍の中畑清さん。ちょうど抄子の名前も3文字。試合の際は、中畑さんの応援歌を背にバッターボックスに入った。気分はもう「ゼッコーチョー!」。最後の公式戦では打棒が爆発、大会を制して誇らしげにトロフィーを掲げたのを覚えている▼しかし進学先の野球部では日常的に暴力が飛び交い、野球に集中する環境にはなかった。嫌気がさし、自然とグラウンドから足が遠のく。3年間のベンチ生活。悔いだけが残った▼当時の経験はトラウマだが、根っからの野球好きは変わらない。夏本番を前にすると気分も高まる。今年はどのチームが白鷲旗を手にするのか。球児には悔いが残らないよう、精いっぱいプレーしてほしい。
片隅抄