自宅から小名浜港の夜空を彩る大輪が見える。そばにラジオを置き実況中継を聞けば、会場の賑やかさが脳裏に浮かぶ。雰囲気は味わえるが、音と光のタイムラグが難点。やはり迫力に欠ける▼いわき花火大会は今年、70回の節目を迎える。七夕まつりとともに本市の夏を象徴するなくてはならない風物詩。抄子にとっては〝船の博覧会〟と併せ、鬼籍に入った家族との記憶を思い起こさせる大切な存在だ▼舞台裏を20年近く取材し花火への思いはさらに強くなった。裏方の多くがボランティア。成功させるために休みを返上して準備に汗を流し続ける、涙ぐましい努力や苦労を間近にして感激した。自ら被災しながら、瓦礫の中から立ち上がった震災後の姿は忘れられない▼やっぱり会場で見る花火が一番だ。そのきれいさや迫力を純粋に楽しむのもいいが、わずかでもいいから、手づくりの市民花火という視点で、主催者への感謝の気持ちを込めて夜空を見上げてほしい。