「何度か地震が続けば、大きい地震は来ないのでは」。不思議なもので14年前の3月10日、こんな会話をしたことを鮮明に覚えている。前日の9日に三陸沖を震源とするマグニチュード(M)7・3の地震があり、10日にかけて小さな揺れが続いていた▼この考えは基本的に誤り。Mは1大きくなると、地震の規模は約32倍になる。従って仮にM4でM8の大地震と同じエネルギーをはかせるには、100万回以上の地震が必要となる▼今月8日深夜の青森県東方沖を震源に発生したM7・5の地震に伴い、いわき市にも「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が出された。さらに大きな「後発地震」の恐れがあるとして、日常生活を送りつつも十分な備えをするよう求めている▼政府の被害想定では最悪の場合、日本海溝沿いの地震で最大津波波高が約30m、最大死者は約19万9千人と試算する。空振りに終わればそれでいい。あの災禍を知っている以上、できる対策を怠りたくない。