著 者:近藤 幸夫
出版社:集英社インターナショナル
価 格:2200円(税込み)
絶滅危機からライチョウ保護に懸けた奇跡の物語
これは、狂気ともいえる情熱をもって、絶滅危惧種ライチョウの保護に懸けた者たちの記録であり、活動の経緯や意義を訴える書です。
二〇一八年夏、半世紀前に絶滅したとされていた中央アルプスで一羽のライチョウを目撃したとの情報がもたらされます。後に「飛来メス」と呼ばれることになる奇跡の鳥をきっかけに、絶滅山域・中央アルプスにライチョウを個体群として復活させるべく、国を挙げてのプロジェクトが始まります。
「復活作戦」は、ライチョウの生態を熟知している鳥類学者の権威・中村浩志氏の指揮のもと進められます。山域の環境調査から始まり、動物園での人工繁殖、繁殖ヒナの高山地帯へのヘリ移送、過酷な環境下でのケージ保護飼育ののち野生復帰へ。
数多の人が関わり、気の遠くなる地道な努力によって、二〇二三年、飛来メスの家族がケージ保護を終えて自然の中に放鳥されるに至ります。
「飛来メス」、彼女は私たちに何を伝えるべく現れたのか? みなさんで考える一冊となることでしょう。
(鹿島ブックセンター勤務)
※紹介する人:松井紀之さん