著 者:渡部 史絵
出版社:イカロス出版
価 格:2420円(税込み)
全国19の事業者を電車と街の雰囲気と併せて紹介
路面上(道路の上)を走る電車のことを、一般的には「路面電車」という。まだ電車が開発されていない時代は、路面の鉄道の始まりは馬が客車を引く「馬車鉄道」であった。しかし馬は生き物で、軌道上は馬の糞尿問題で悩まされ、馬以外の動力機関の開発が急務となった。
1879年にベルリンの博覧会においてドイツのシーメンス社が電気で走る、いわゆる「電車」を発表し、デモ走行をしたことで「路面電車の歴史」が始まった。日本においては、翌年に行われた内国勧業博覧会での電車のデモ運転を行ったのが始まりである。その5年後に、京都市内にて路面電車の営業運転が始まった。
それから約130年。近代化する都市部の交通機関として活躍も、戦後の高度経済成長期にもどんな乗り物より人々を近くで支えてきたが、自動車主体のモータリゼーションの波が訪れ、運行を廃止する地域が多発した。一時期は衰退の一途を歩んだが近年、環境保全や少子高齢化などで再び見直されている。昨年、「宇都宮ライトレール」が75年ぶりに新規開業した。開業初年度から好調な走り出しになっているようだ。
本書は、現存する路面電車19事業者の概要、歴史、現役車両リスト運賃やお得な乗車券に沿線の見どころ等を紹介している。
(ヤマニ書房本店勤務)
※紹介する人:高橋宏行さん