いわき市で高校生や若者を中心に、LGBTなどの性的少数者の権利を尊重し、同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」の実現を掲げる団体が活動している。団体名は「多様性を認め合ういわき市を目指す会」。7月2日には市文化センターで、キックオフイベントを開催し、広く市民に理解を求めていく。そこには古里いわきが、誰にとっても生きやすい社会であるべきと思う、一人の高校生の信念があった。
「きれいごとかも知れないが、社会は平等であってほしい」。多様性を認め合ういわき市を目指す会の代表で、磐城高3年の割谷洋恵さん(17)はこう呼びかける。政治に関心を持つ中で、女性活躍に興味を抱き、性的少数者を巡る動きに疑問を感じたという。
特にいわき市や福島県には、パートナーシップ制度がないことに違和感を覚えた。当事者から話を聞く機会として、平字三町目の「ゲストハウス&ラウンジFARO(ファロ)」で行われた座談会に参加した。この出会いをきっかけに、5月に当事者たちと新たな団体を立ち上げた。
性的少数者の議論に、賛否両論があることも自覚している。国会ではLGBT理解増進法案が可決、成立したが、保守派を中心に反発があった。差別が助長されるとの声も上がった。「どちらの考えも否定はしない。しかし根本にあるのは、誰もが幸せであること」と割谷さん。一つ一つ障壁を乗り越えていくべきと前を向く。
憲法24条では「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定められており、同性同士が結婚することは想定していない。しかし割谷さんは、あくまで条文は70年以上前の価値観で書かれており、多様性が尊重される現代社会には、なじまないと指摘する。
一方で、憲法を改正するハードルの高さも理解する。「まずは自治体レベルで機運を高めることが大事。その結果、社会全体の盛り上がりにつながっていく」と話す。今後は署名活動を展開し、10月11日の「カミングアウトデー」で、内田市長に提出する。目標は1万筆だ。
キックオフイベントでは、専門家や市議を交えて、どうすれば実現できるかを模索する。割谷さんは「ぜひ気軽に参加してほしい」と呼びかける。時間は午後2時~3時半。定員50人。申し込みはQRコードから。問い合わせは<こちら>へ。
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