日本製紙は8日、勿来工場(勿来町窪田)の情報用紙を関西地方に運ぶに当たり、大王製紙と連携して、船舶を活用した海上共同輸送を始めたと発表した。従来は勿来工場から長距離トラックを用いていたが、製品の輸送手段をトラックから貨物列車や船舶に切り替える「モーダルシフト」の導入によって、環境負荷の低減とともに、トラック運転手の残業規制強化で、人手不足や配達遅延が予想される物流の「2024年問題」に対応していく。
この取り組みは、日本製紙や大王製紙など6社で構成する「紙・パルプ協業モーダルシフト化促進協議会」で実施し、2日から開始した。背景には、大王製紙が愛媛県と千葉県で船舶を利用して、首都圏や東北地方にティッシュペーパーや紙おむつを供給している中で、帰り荷が課題となっていた点が挙げられる。
このため途中で、大阪府の港への立ち寄りを組み込むことで、日本製紙の情報用紙を届けられるようになった。製紙業界で同業社間が定期的に、帰りに別の貨物を積み込む「ラウンド輸送」を行うのは初めて。
船舶は、貨物をトレーラーの荷台やトラックごと運ぶ「RORO(ローロー)船」が使われる。試算によると、日本製紙の輸送部分で、トラックドライバーの運転時間は約78・8%(年間約622時間)、二酸化炭素の排出量は約46・7%(年間約59・5トン)削減できるという。
国土交通省東北運輸局は8日、物流の効率化に資するとして、同協議会の事業費の一部を補助すると公表した。
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