メディア業界紙「文化通信」を発行する文化通信社(東京都千代田区、山口健代表取締役)が主催する「ふるさと新聞アワード」の第3回の受賞記事が決まり、いわき民報元日号掲載の「草野心平生誕120周年記念特集」と、心平も利用したJR小川郷駅の駅舎解体にかかる一連の報道が、「ひと」(一部「もの」)部門で優秀賞に輝いた。同部門での受賞は3年連続となる。
文化通信社が創業75周年に合わせて、一昨年に創設した賞で、地域紙の持つ〝地域ジャーナリズム〟を全国に発信するとともに、各紙の権威と価値の向上、記者のやりがいにつなげるために毎年開催している。
各分野で活躍する著名な外部審査員が記事を選考しており、今回も昨年と同様に、歴史家・作家の加来耕三、放送作家・脚本家の小山薫堂、中川政七商店会長の中川政七、温泉エッセイストの山崎まゆみ、ディスカバー・ジャパン代表取締役社長の高橋俊宏・各氏が参加した。18紙から寄せられた約200本の記事をまず、社内選考で各部門10本に絞った後、外部審査員が投票して各賞を決めた。
優秀賞を受賞した正月版の特集は、今年生誕120周年を迎えた小川出身の詩人草野心平の偉業を振り返る内容で、心平の縁戚で弊紙連載「雜学ゼミナール」を担当する関内幸介さんをはじめ、市立草野心平記念文学館の学芸員、いわき地域学會の吉田隆治顧問、心平が立ち上げた「歴程」同人の齋藤貢氏らがテーマごとに、作品の魅力や人となりに迫った。
また、心平が利用した往時の姿を残すJR小川郷駅の木造駅舎について、解体へとかじを取るJR側と保存を模索する住民たちの話し合い、解体を惜しむ声や、本紙の報道をきっかけに、福島高専の布施研究室がデジタルアーカイブを作成するなど、一連の動きを追った報道も合わせて受賞対象となった。
審査員の高橋氏は、受賞作について「地元の偉人を『ゆかりの地域ならでは』の切り口で深掘りできるのが地域紙の強み。草野心平を丁寧にひもといた筆致はさすがだと思った」などと評価。個人的に天山文庫を訪れたこともあるといい、「(正月号は)そのロケーション、建物の佇まいに大感動したことを思い出しながら読ませていただいた」とコメントした。
今回グランプリを受賞したのは、和歌山県新宮市の地方紙「熊野新聞」の記事「嗚呼壮絶かな、観光合戦!!」。表彰式は12月1日、東京都台東区の東天紅上野本店で行われる。
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