内田市長は21日、新常磐交通(本社・明治団地)が深刻な運転手不足や不採算を理由に、来年4月に大幅に路線バスを廃止・減便する計画を示した件を受け、タクシー会社との連携や、ボランティア輸送の恒常的な運用を通じて、市民の足を確保する考えを明らかにした。
一般ドライバーが自家用車に顧客を有料で乗せる取り組みで、政府が解禁に向けて議論している「ライドシェア」についても、積極的に検討する姿勢で、22日には東京・永田町で行われた超党派の勉強会(世話人・小泉進次郎元環境相)に参加し、いわき市の実情を伝えてきた。
今後の対応を巡って、内田市長は21日午後、市役所で報道各社の取材に応じた。いわき市のうち、中山間地などに関しては、それぞれ実情に応じた交通手段を取ると説明する。四倉、久之浜・大久では地元のタクシー会社と協力し、料金に補助金を出す「定額タクシー」や、予約乗り合いによる「デマンド交通」が、本年度から展開される予定となっている。
先行してボランティア輸送を始めた三和、田人では、ドライバーの高齢化や利用にあたっての調整が課題とされ、改善に向けた話し合いが既に持たれている。
川前では、地域の高齢者支援にあたる「NPO法人小さな拠点おおか」が主体となり、年度内の適切な交通手段の実装を目指している。遠野は子どもたちの通学のため、来春にもスクールバスを導入するほか、2025(令和7)年度までに、地元と域内交通手段を協議する。
小川は現時点で協議会等が未設置のため、準備を進めている。いずれも本年度から創設し、数千万円規模が見込まれる「中山間地域支援基金」を活用する。
また都市部でも公共交通不便地域を明確にし、代替交通手段のあり方を見定めていく。ライドシェアも既存の事業者と共存しつつ、法的な仕組みの構築を国に働きかける。
今年3月に策定された「いわき市地域公共交通計画」によると、2020年国勢調査で、いわき市は自家用車が主な交通手段の人は79・2%で、全国61(当時)の中核市で最も多かった。
一方で路線バスの廃止や減便は、通学する高校生や、自家用車を持たない高齢者に影響する。こうした背景から、内田市長は「深刻な状況は理解していたが、よりスピード感を持って取り組む必要がある」と強調した。
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