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いわき市の小学5年、中学2年の世帯 「生活困難層」23・6% 進学に影響も
いわき市の小学5年・中学2年の子どもと保護者で構成する世帯のうち、市が所得や家計などの状況で「生活困難層」と位置付ける割合が23・6%に上っている。生活困難層では保護者が希望する教育段階についても大学より高校が多く、主な悩みごとや心配ごとの半数が「子どもの教育費に不安がある」だった。
市では新年度、低所得世帯に対する教育支援を強化しているが、物価高によって教育にかける費用が影響を受ける中、あらためて境遇に関係なく等しく学べる機会が求められている。
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市は昨年度、小学5年の児童がいる1519世帯と、中学2年の生徒がいる1532世帯を対象に、子どもと保護者に向けて「子どもの生活実態調査」を実施した。いずれも学校を通じた配布・回収で、全体の配布は6102件で、有効回収率は64・1%に当たる3914件。うち親子の回答が紐づけた世帯数は62%の1891件だった。
調査では、▽低所得(等価世帯収入が半分未満〈2人世帯は187万6388円、3人世帯は229万8097円を下回る〉)▽家計のひっ迫(経済的な理由で衣食を欠いたことや、公共料金を支払えなかった経験がある)▽子どもの体験や所有物の欠如(経済的な理由で、誕生祝やお年玉がなかったり、本や文具を持っていなかったりする)――の要件を設けた。
このうち2つ以上に該当する世帯を「困窮層」(151世帯)、1つの場合は「周辺層」(296世帯)とし、両者を合わせて「生活困難層」(計447世帯)と定義し。ゼロについては「一般層」(1381世帯)としている。
今回の世帯の内訳で見ると、252世帯あった「ひとり親」のうち、61・5%の155世帯で生活困難層と顕著な割合を示した。
2019(令和元)年度にも同様の調査をしているが、指標の一部が異なるため単純比較はできないものの、おおむね同じ結果だった。
保護者が希望する教育段階に関しては、大学までが一般層は53・4%に対し、生活困難層は26・4%にとどまり、困窮層は14・6%まで落ち込む。一方で高校までとする一般層は13・4%だが、生活困難層は35・1%、困窮層は48・3%と大きく引き離す。
この傾向は児童・生徒でも同じだ。大学までが一般層は33・4%、生活困難層は20・8%、困窮層は14・6%。高校までになると、一般層は18・5%、生活困難層は31・3%、困窮層は35・1%となっている。
理由はどの層もおおむね「希望する学校や職業があるから」とするが、「家にお金がないと思うから」が生活困難層は5・7%、困窮層は11・2%で、数こそ多くないが、子ども自身が経済的理由で進学をあきらめているとされるケースが見受けられた。
(画像:各世帯の状況=市資料より)