四倉地区の市街地再生整備の一環として、早ければ2030(令和12)年度にも、JR四ツ倉駅の西側に、幼稚園や小・中学校と公民館などを複合し、地域住民も日常的に使える「交流・防災拠点施設」が整備される方針が固まった。
学校とコミュニティー施設が一体的に運用される建物は、いわき市では初めての試みとなり、まちのにぎわい創出とともに、災害時を含めた安全・安心の確保を図っていく。四倉地区まちづくり検討会が15日、四倉商工会館で開かれ、これらの考えをまとめた基本計画の素案が示された。
市街地再生整備の背景には、人口減少や土地利用のあり方、道路環境の問題など、四倉地区を取り巻く課題がある。市によると、四倉地区の人口は2020年は1万3084人だったが、60年は4438人まで落ち込む。市街地には空き店舗が目立ち、学校を含めた公共施設が津波浸水や河川氾濫が想定されるエリアに立つ。
こうした現状から、官民一体となって、JR四ツ倉駅西側の住友大阪セメント(東京都港区)の工場跡地を利用し、四倉地区をいわき市北部の拠点としての活力を高めていく考えを持った。
市と地元団体が「四倉地区まちづくり検討会」を立ち上げ、2019年8月から議論を重ねており、15日は会合を締めくくりとして、基本計画の素案についての話し合いが行われた。
交流・防災拠点施設は約3万9300平方m。再編された小・中学校には教室や多目的室、職員室など通常の機能を持つ上で、図書室や家庭科室、美術室、図工室、音楽室、体育館はコミュニティー施設の共用部分を兼ねており、子どもたちのセキュリティーに留意しながら、地元の人たちも利用していく。
幼稚園に関しては、将来的に保育所機能を持つ認定こども園への転換を念頭に置く。
隣接する土地には、民間収益施設を予定する。広さは約6300平方m。地元からはスーパーマーケットやカフェ、学習塾といった意見が寄せられており、所有する住友大阪セメントが主体となり、活用のあり方を模索していく。
新たな施設周りでは歩道を作ったり、カラー舗装を施したりすることで、安全な道路環境を実現する。
基本計画に対するパブリックコメント(市民意見募集)は3月4~18日に実施され、年度内の策定を目指している。
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