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湯本の公衆浴場は廃止・民間譲渡検討へ いわき市 温泉事業の経営戦略示す

 市は、いわき湯本温泉に関係する事業を安定的に継続するため、常磐湯本町に設置する「上の湯」「さはこの湯公衆浴場」「湯本駅前みゆきの湯公衆浴場」の公衆浴場について、廃止や民間譲渡を検討している。さはこの湯は、指定管理者で設備維持などを手がける「キョウワプロテック(本社・福島市)」が運営を引き継ぐ意思を表明しており、今後の方向性を模索していく。また入湯税の引き上げや、給湯事業の縮小なども計画している。市は26日、諸方針をまとめた「いわき市温泉事業等経営戦略」を発表した。
 いわき湯本温泉は日本三古泉の一つとして知られ、かつては湯本財産区によって温泉給湯・公衆浴場事業の運営をしていたが、収支不均衡や財政負担の課題から、2021(令和3)年に市へ移管された。経営戦略は2033(令和15)年度までの10年間にわたり、中長期的な経営の基本計画として策定し、さまざまな取り組みを例示した。
 温泉を取り巻く環境は厳しく、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。コロナ禍前の2018(平成30)年度には、いわき湯本温泉に31万7千人の観光客が訪れていたが、21年度には18万6千人まで減少した。関係する設備も老朽化が進んでいる。
 公衆浴場のうち、上の湯は湯本財産区時代に廃止の考えが決まっており、2028(令和10)年度までの予定。常磐湯本地区の再開発に伴い、さはこの湯は新たな温浴施設と競合する可能性がある。みゆきの湯は複合施設の整備エリア内のため、25年度までに営業を終了する見通し。いずれも廃止・民間譲渡によって、運営や更新にかかる費用が削減できる。
 財源確保の一つとしては、入湯税超過課税を挙げた。現在の入湯税150円から300円とする案で、契約者の負担はないが、徴収する側の旅館などからは反対を受ける可能性があり、宿泊者離れが生じる恐れも指摘されている。
 温泉使用料の値上げや、企業債の活用も想定する。しかし旅館に直接的な影響を及ぼしたり、将来世代に負担がかかったりするため、バランスの取れた資金調達が求められると説く。
 給湯事業では、配湯所や管路施設の休止、廃止、更新時期の見直しも盛り込まれた。今後50年で約4・1億円(約10%)の削減効果が期待される一方、タンクローリーなどによる新たな配湯が必要となり、関係者の意向の把握は不可欠だ。
 また、JR湯本駅前の市街地再生に合わせた新規給湯契約者の確保や、各種業務に官民連携手法を導入する考えも示した。市では経営戦略の内容を広く周知することで、市民や関連する企業との総合理解を深める狙いがあるといい、宿泊・観光事業者と議論していく。
 (写真:廃止・民間譲渡の案が出されたさはこの湯)

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