いわき総合図書館は、図書館の資料を用いて調べ物をサポートする「レファレンス協同データベース事業」に貢献著しいとして、12年連続で国立国会図書館長から礼状を受けた。分野ごとに職員を分け、市内外から寄せられる質問に回答する体制で、的確な事例を積み上げている点が高い評価につながった。
同事業は国立国会図書館が、全国の図書館などと協同で構築しており、調査・回答した事例を登録。広くインターネットで公開しており、誰でも見ることができる。
全国925館が参加しており、礼状の対象となったのは84館。うち東北地方は秋田県立図書館、宮城県図書館を含む3館のみ。県内ではいわき総合図書館が唯一。
対応は単に答えを提示する訳ではない。例えば三和町差塩に関する「いわき市にある『差塩』の地名の由来を知りたい」であれば、初めに旧差塩小・中の閉校記念誌をひも解いて2説を紹介。さらに別説を記述した書籍を基に、地理学者の著作を導いている。
ただここに至るまで、明治時代の郷土誌や、地元の関係者がまとめた記録など別に20の資料を調査したが、関連する部分は確認できなかった。同館の担当者は「あたりを付けて探すのですが、見当違いの場合もあります」と苦労を明かす。そのため回答には、数カ月を要することがあるという。
時に断片的な相談も。「縁側でひなたぼっこしていると次々に動物がやって来て、『ごろん』と言ってお昼寝する……、そんな感じの絵本を探しています」。タイトルも作者も分からない。
しかし同館は、絵本・児童書をあらすじから検索する方法として、国立国会図書館サーチの活用を提案。「おひさまぽかぽか」がヒットし、見事に一致した。
矢吹敬直館長は「自画自賛かもしれないが、12年連続は大変光栄なこと。今後も日常生活の疑問に答えることに加え、生涯学習の観点から、情報提供や調査の支援に努めていきたい」と強調。パソコンやスマートフォンで何でも検索できる時代だからこそ、さまざまな考えを伝えていきたいと話している。
(写真:礼状を手にする矢吹館長)
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