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三和「新田の大山桜」危機に瀕する 今春ほぼ咲かず 近く樹木医の診断へ

 三和町下市萱字新田の市保存樹木「新田の大山桜」が危機に瀕している。里山に春を告げる立派なヤマザクラとして、例年は4月下旬から5月上旬に見ごろを迎えることで知られ、ここ数年は大型連休を待たずに満開となっていたが、今春はほぼ開花しなかった。市公園緑地課によると、保存樹木を管理する市公園緑地観光公社を通じ、近く樹木医に状態を診断してもらう。
 樹齢400年とされる新田の大山桜は、平中心市街地から車で50分ほどの山あいに立つ。国道49号を郡山方面に進み、市三和支所近くの交差点から県道三株・下市萱・小川線に入り、急峻な道を経た先に位置にする。
 新田地区にはかつて小学校の分校(沢渡小新田分校)もあったが、2005(平成17)年に閉校。いまは10世帯15人(昨年10月1日時点)が暮らし、普段はのどかな集落だが、新田の大山桜が咲くころになると、多くの見物客が訪れる。
 樹高は16m、幹周は4・2m。赤みを帯びた葉と共に淡紅色の花を付ける。1979(昭和54)年、市保存樹木に指定。ヤマザクラは一般的に暖かい地方に多く、阿武隈山地が北限と言われている。
 市三和支所によると、異変が見られたのは昨年の夏。大山桜の葉が一斉に落ちたという。猛暑の影響によって、全国的にサクラが冬枯れのように落葉した事例が確認されており、ただちに開花しなかった原因とは断定できないが、樹勢が衰えたことは否定できない。
 さらに幹の部分に、雨水が長い期間たまっていたことが分かっており、腐朽の引き金となった可能性を指摘している。

 市公園緑地課の担当者は「地区の皆さんに愛されてきた新田の大山桜。冬眠なのか、はたまた枯れてしまったのか、良く見極めなければいけない」と語る。仮に今後咲く見込みがない場合には、地元の所有者の意向と、有識者による市環境緑化審議会の議論を踏まえて、市保存樹木の解除を判断する。
 勇壮なヤマザクラの姿はもう見ることができないのか――。
 (写真1枚目:山あいに立つ新田の大山桜=2日午後 2枚目:例年の姿=いわき観光まちづくりビューロー提供)

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