市教委は、全国の小学6年と中学3年を対象に、4月に行われた「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」を巡り、いわき市の状況について速報値をまとめた。全国の平均正答率と比較した場合、小学校、中学校ともに国語はおおむね同じである一方、小学校の算数と中学校の数学は下回っている。
内田市長は自らが掲げる「人づくり日本一」の実現に向け、学力向上を重要なテーマとしており、さらなる深化を図っていく。詳細な分析は8月中に公表予定。
全国学力テストは市内の小学校59校・2336人が国語と算数、中学校34校・2278人が国語と数学を受けた。
平均正答率のうち、いわき市の小学校の国語は67%(全国67・7%、県66%)、算数は61%(全国63・4%、県60%)、中学校の国語は58%(全国58・1%、県57%)、数学は49%(全国52・5%、県48%)。なお文部科学省では全国は小数点以下1位まで、それ以外は整数値で発表している。
都道府県別の1位は、小学校の国語が秋田県の73%、算数が東京都の68%、中学校はともに石川県で、国語が62%、数学が57%だった。
2022(令和4)年以降の3年間で見ると、小学校、中学校いずれも国語は全国と同程度の平均正答率を確保しており、今後は全国平均を超える基礎学力の定着を目指していく。算数、数学は全国平均におよんでいないが、特に数学は伸長がうかがえる。より成果を出すために伸びが見られる学校の取り組みを研究し、好事例を他の学校にも波及させるという。
さらに退職校長に委嘱した学力向上アドバイザーによる全校訪問や、エビデンス(根拠)に基づき学力が向上するよう、多角的に分析した「学校カルテ(学校・学級ダッシュボード)1・0」=通称・ダッシュボード=を活用し、学校・学級ごとの強みと課題を「見える化」していく。
一連の内容を踏まえ、教科や領域等の授業改善のための教員研修も推進する。市教委によると、小・中学校の学習指導要領が求める「主体的・対話的で深い学び」に関して、その度合いが高い指導を実践している学校ほど、学力が向上する傾向にあるという。
この考えは主に、子どもたちが自ら興味関心を持ち、他者とのかかわりの中で学びの成果を得ていくことを指す。学校訪問でも授業改善につながる指導・助言を進め、各学校に発信して教職員の意識改革に努める。また他自治体の先進事例の分析・共有も行う。
児童・生徒の課題を次学年に持ち越さない対策としては、県が独自に実施している「ふくしま学力調査」と連携し、同一学年の学力の伸びを経年分析する。
(画像:全国学力テストの過去3年間の推移)
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