いわき市の郷土芸能・じゃんがら念仏踊りが、正月に発生した能登半島地震の被災地で披露され、鎮魂の舞がささげられた。現地を訪れたのは「磐城じゃんがら遊劇隊」のメンバー6人。1日に石川県珠洲市の市立直小グラウンドに設けられた応急仮設住宅に足を運び、地元の人たちを前に踊ったほか、2日には同県能登町にも赴いて炊き出しに協力した。
「東日本大震災の際には、いわきに全国各地から支援の方が来られ、音楽でも励ましてもらった。自分たちはどれだけ力になれるか分からないが、能登の方にも『あの時、いわきから来た人がいた』と思ってもらえれば」。隊長の鈴木崇弘さん(49)は今回の試みについてこう話す。
磐城じゃんがら遊劇隊は2010(平成22)年に結成。いわき駅南口駅前広場の完成に合わせ、じゃんがらが要望されたが、春先だったため既存の団体に声をかけることが難しく、有志によって集まったのがきっかけだ。翌11年3月に震災が発生すると、季節を問わず復興支援の場に呼ばれる機会が増えたため、継続した活動となった。これまで県内外で100回近い舞台に立っている。
石川行きは、アーティストのキャンドル・ジュンさん(50)の求めで実現した。今年6月、キャンドル・ジュンさんが平字古鍛冶町の菩提院で、震災の月命日にちなんだイベントを開催した際、じゃんがらの魅力に触れ、歌詞や理念に関心を寄せたという。
珠洲市の応急仮設住宅では能登半島地震の月命日として、同じくキャンドル・ジュンさんが催しを企画。じゃんがらで使う鉦(かね)や太鼓を持ち寄り、子どもたちに体験してもらう機会を設けたほか、復興への願いが書かれたキャンドルが灯される中、鈴木さんらは亡くなった人たちを念仏踊りで供養した。
一行は併せて、8月に行われたいわき七夕まつりで、来場者から集めた義援金7万6080円を届けた。
(写真:地元の人を交え、応急仮設住宅で行われたじゃんがら念仏踊り)
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