「客引き行為は犯罪です。条例による田町、白銀町等の一定の区域内の公共の場所では、キャバクラ等の接客を伴う飲食店に客を誘う行為や、チラシを配布するなどの客引き行為は禁止されています。また違法行為を助長することにもなりますので、客引きを利用しないでください」
今月から平字田町の繁華街で、午後8時から翌日午前1時まで、このようなアナウンスが始まった。スピーカーは紅小路通り(通称・3本目)の東側入り口に設置されており、15分に1回の頻度で流されている。
2015(平成27)年8月、指定区域(JRいわき駅周辺など東西約1・1km、南北約500m)を設けた「いわき市客引き行為等の防止に関する条例」が施行された。客引き行為・誘引行為をすると、3カ月以下の懲役または20万円以下の罰金と定められている。
新型コロナウイルスの感染拡大で田町も閑散としたが、コロナ禍が明けて人の流れが復活すると、次第に客引きも戻ってきた。実際に10月のある夜、銀座通りで20代とみられる女性に呼び止められ、新田町通り(通称・2本目)で営業する店名を名乗って「3千円で飲み放題。かわいい子もいっぱいいるよ」と声をかけられた。中には法外な料金を請求する「ぼったくり」を働く店舗もあるという。
地元の関係者からは「県外から来た宿泊客が飲みに行かなくなった」「他の店に入ろうとするお客さんを横取りする」「このままでは街の雰囲気が悪くなる一方」と懸念の声が寄せられている。ただ自らの店舗近くで道行く人に声をかけること自体は、通常の営業活動の範疇でとがめることはできない。
まずは客引きの問題の周知に向け、市、いわき中央署、いわき中央地区防犯協会連合会がスピーカーを整備することを決めた。これには飲酒運転根絶も呼びかけるため、いわき中央地区交通3団体、市交通安全対策協議会も加わっている。
同署では「繁華街では適宜パトロールや指導を行っている。アナウンスによって条例を知らなかったという言い訳は通じないので、悪質な場合にはしっかり検挙する」と強調する。市生活安全課では併せて客引き禁止の看板を更新。「安心して皆さんが楽しめる環境を作っていきたい」としており、引き続き啓発を図っていく。
(写真:客引き禁止のアナウンスが響く夜の平・銀座通り)
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