市消防本部は14日、2日に救急救命士が心肺停止状態の傷病者に対し、医師の指示を受けないまま、定められた医療行為の「特定行為」として、薬剤を投入する経路を確保する「静脈路確保」と、アドレナリンなどを投与する「薬剤投入」を行ったと発表した。
いわき市では救急現場のプロトコール(規定)として、救急救命士は家族などから、目の前で意識を失ったり、倒れた音を聞いたりした後に心肺停止に至ったと聞き取った上で、自動体外式除細動器(AED)で心静止と確認された場合、医師に医療行為を仰ぐ手順となっている。
しかし今回の救急救命士は、現場から離れた場所に停車していた救急車の中に、医師と連絡を取るスマートフォンを置いたままで、取りに戻る時間を考え、一刻も早く救命措置を取ろうと特定行為に及んだ。
傷病者は搬送先で死亡が確認されたが、この医療機関から今回の特定行為に関して、問題はなかったとの見解を得ているとした。
同本部では再発防止に向け、13日と14日に救急救命士ら対象となる計249人に研修を実施し、プロトコールの順守を徹底させた。
今回の救急救命士は現在、救急車の乗務からは外れており、処分を巡る検討会が市保健所や市医師会などの有識者を交えて開かれる予定。なお亡くなった傷病者の家族は、寛大な処置を求めているという。
(資料写真:いわき市消防本部)
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