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中之作に古民家改修のゲストハウス 来年3月オープンへ クラファン実施中

 海辺の街・中之作に来年3月、古い空き家を改修したゲストハウス「enoto(えのと)」がプレオープンする。手がけているのは、現地で豊田設計事務所を営む豊田善幸(55)、千晴(42)さん夫妻。ふたりは本業の傍ら、古民家の再生や地域振興に取り組み、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から立ち上がる港町を見つめている。善幸さんは「建築家の立場から、地元が抱える課題の解決を考えたい」と強く訴える。
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 いわき市沿岸部を襲った震災による津波は、中之作では高さ5・07mを記録。市によると、隣接する折戸を含め全壊家屋は56%にもおよんだ。
 居並ぶ古民家も浸水被害を受け、解体を余儀なくされたが、そのうちの一つで築200年の家屋を引き受け、2014(平成26)年4月に「清航館」としてよみがえらせた。同じく中之作の建物をリノベーションし、19(令和元)年7月にはカフェ「月見亭」、21年9月にはシェアハウス「コウノヤ」を開業した。
 NPO法人中之作プロジェクトの代表として、一連の取り組みを進める中で、「ゲストハウスもこれまで同様、住民参加型のDIYで取り組んでいる。住民参加型のため交流の場にもなり、地域コミュニティーの希薄化を防ぐことにもつながる」と善幸さん。清航館や月見亭でも〝ものづくり〟に携わった人たちが、利用者として再訪している。
 空き家の問題は中之作に限った話ではない。「空き家を借家に改修する場合、設計者や施工者は改修工事を終えれば仕事は終わりで、その建物に入居者があるかまでは考えていない」と指摘する。
 遠隔地に住む所有者の負担をいかに減らすか――。「空き家再生の設計料や工事での利益を、建物への投資に回すことでリスクを軽減させる」。建築家として、地域をデザインし、積極的に自分の住むまちの未来にかかわり続ける矜持を示す。
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 ゲストハウスの「えのと」は榎戸地区に立つことに加え、「縁の戸」や「江の音」など、港町の暮らしをイメージできるよう名付けた。さらにただ寝泊まりするだけでなく、地域内外の人が楽しく交われる場所になってほしいという思いも込め、「泊まれる港の交民館」と冠している。
 建物は木造2階建てで、リビングや客間、畳の部屋を有し、風呂・トイレは独立して2つある。来夏の本格稼働を念頭に、宿泊者がDIYに臨める仕様で運用していく。そして将来的には、子育て世代が住みよい街になることを目標としている。ゲストハウスはそのきっかけ作りのひとつだ。
 来年1月23日まで、内装資材費用に対するクラウドファンディングを実施している。詳しくは<こちら>まで。
 (写真:ゲストハウスを手がける豊田さん夫妻)

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