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三和町上三坂「竹細工の先生」吾妻哲也さん 職人顔負けの腕前でひっぱりだこ

 雪の残る三和町上三坂地区の「『治療院カフェ』inOJONCO館」で2月上旬に行われた、凍み大根づくりの体験会。傍らでは子どもたちの昔遊び体験教室が催され、好々爺然とした風貌の男性が輪ゴム鉄砲、竹とんぼなど、優しげな表情で竹製のおもちゃのつくり方を教えた。
 講師を務めたのは、近くに住む吾妻哲也さん(71)。退職後にふとしたきっかけで始めた竹細工は職人顔負けの腕前となり、味のある作品は公民館で展示されるなど引っ張りだこだ。
 もともとNTT職員で、宮城県仙台市、福島市などで勤務し、東北各地の現場を渡り歩いたり、設備設計に携わった。
上三坂の実家にいたのは、若いころ。結婚後は長く家を空け、週末や長い休暇に帰る転勤族の生活を退職まで続けた。その後も協力会社で勤めたが、時間に余裕が生まれ、妻の美和子さん(70)とともに「さぁ何をしようか」と思案したときに出合ったのが、単身赴任時代に始めたというアユ釣りの太公望をモチーフにした、精巧な竹細工だった。
材料は実家の裏山に大量にある。見よう見まねで作ってみたら、どっぷりと「はまった」。最初こそ、竹の乾燥が十分ではなくカビが生えるなどの失敗をしたが、本来の器用さに加え、豊かな創造力を生かし、ドングリのヘタを頭髪に模し、釣り竿やたもに本物の釣り糸、銅線を使うなど、売りものを超えるほどのクオリティの高さを実現させた。
作品を見た仲間の太公望たちは吾妻さんの意外な才能に驚きつつも大喜びで受け入れ、市内の「アユ祭り」で販売したところ、大人気に。評判を聞いた公民館や割烹旅館から展示してほしい、との依頼が舞い込んだ。
 吾妻さんの作品を見て心を和ませる人たちの姿にうれしさが加わり、餅つき、囲炉裏、畑を耕す農夫といった日本の原風景を表現した竹細工や、干支(えと)をモチーフにした新作を生み出していった。
いまもニッパやナイフ片手に竹細工と向き合う毎日。家に作業、展示部屋を設けるほどの熱中ぶりだ。美和子さんも三和地区に伝わる袖無しの綿入れ半てんの「おじょんこ」作家として知られており、「時間に余裕がある農閑期にぴったり。年を重ねると、手先を動かす作業はいいですよね」と、夫の趣味を後押しする。
子どもたちのおもちゃ作りはお手のもの。「先生、これどうするの?」と声を掛けられると、吾妻さんは相好を崩し、優しく工作手順と「コツ」を教えていた。
 (写真:「竹細工の先生」として活躍する吾妻さん)

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