県吹奏楽連盟副会長・音楽監督の根本直人(ねもと・なおんど)さんは8日午後3時34分、病気療養中のところ、いわき市内の病院で急逝した。74歳。自宅は同市小名浜下神白。通夜は13日午後6時から、告別式は14日午前10時から、同市鹿島町御代字赤坂22の1、メモリアルホールみよの杜で。喪主は妻の尚恵(ひさえ)さん。
全日本吹奏楽コンクール(全国大会)には磐城高、勿来工業高、いわき明星大・医療創生大で延べ19回出場。2015(平成27)年に15回の出場をたたえ、全日本吹奏楽連盟から県内で初めて「長年出場指揮者」の表彰を受けた。
根本さんは同市四倉町出身。国立音楽大卒。福島高専の講師を務めていた1981(昭和56)年、磐城高の吹奏楽部を全国大会に導き、高校の部では県勢初の金賞を受賞。その後は県立高校の音楽教諭の傍ら、吹奏楽の振興に力を注ぎ、教員を定年退職後も精力的に活動していた。
長年にわたって合唱も教えており、市制20周年記念に合わせ、市民がベートーヴェンの「交響曲第9番」(第九)を歌った演奏会の指導をきっかけに、87年から現在の小名浜樫の木合唱団を指揮してきた。
<教え子のN響・黒金寛行さん「自分の音楽の原点に他ならない」>
教え子からはプロの音楽家を輩出している。日本を代表するオーケストラのNHK交響楽団(N響)で、バストロンボーン奏者を務める黒金寛行さん(39)もその一人。「正直いまだに信じられない」と肩を落とす。
黒金さんによると、自分の音楽の原点は根本さんに他ならないという。植田小6年の時、出演した「うえだバンドフェスティバル」で、当時勿来工業高に勤務していた根本さんにほめられたことはいまでも覚えていると笑う。
磐城高ではプロの道に進むよう背中を押され、東京芸術大に進路を定めた。根本さんは今年2月に行われたN響いわき定期演奏会にも足を運び、自らの演奏をとても喜んでいたと振り返り、「いつか自分も直人先生のように次の世代を育てられれば」と優しく語った。
(写真:磐城高吹奏楽部を指揮し、金賞に輝いた際の根本さん=2015年11月)
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いわきの吹奏楽振興に尽力 根本直人さん急逝 県連盟副会長・音楽監督務める
