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<震災14年ー向き合う⑤>世代間交流で共に記憶継承 菩提院・霜村真康さん

 東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から14年を迎える中で、たびたび耳にする言葉が「風化」だ。いかに震災の記憶を後世に受け継いでいくか――。しかし、震災後に生まれた子どもたちは、災禍について直接知らないのは当然だろう。
 「世代間交流を大切にすべき」と話すのは、菩提院(平字古鍛冶町)の住職・霜村真康さん(49)。僧侶として人々に寄り添いながら、復興にまつわる活動にも携わる立場から、次の世代にバトンタッチする意義を説く。
 「大人たちが震災の経験を武勇伝的に語る部分があるが、その瞬間だけが災害ではない。特に福島は原発事故がいまだ進行中。避難指示だって全面解除になっていない」。霜村さんは自らが見聞きしてきた出来事から鋭く指摘する。
 震災当時、長男は3歳、次男は2カ月、長女はまだ生まれていなかった。長男はおぼろげながら記憶があるが、むしろ原発事故によって双葉郡の住民とのあつれきが生まれたことや、互いの立場を乗り越えて交流した様子を覚えている。
 2020(令和2)年3月、JR常磐線が全線再開した日は、いわき駅から一緒に一番列車に乗った。「どれも震災・原発事故の記憶。世代間で分断を生んではならない」と呼びかける。
 霜村さんの活動の一つに、復興に向けてさまざまな立場の人たちが対話する場「未来会議」がある。2013(平成25)年に始まり、何かを決めるのではなく、あくまで対話に重きを置いた形式で続けている。
 2015年1月には阪神・淡路大震災の被災地として、兵庫県神戸市に未来会議として赴いた。「神戸はちょうど震災から20年。自分たちはまだ4年だった中で、新しい気付きがあった」と話す。現地で同市長田区・大正筋商店街の理事長から話を聞いた。「倒壊した建物を無くし、新しい街を作った一方で、空き店舗があって復興が上手くいかない部分も教わった」
 自分たちの地元にも同じような課題がある。ならば若い人たちと共有すべきではないかと述べる。「14年経ってもまだまだ震災禍。お金の遣い方一つとっても、復興は成功ばかりではない。先行地域の真摯な反省が求められる」と重ねる。

 新しい活動にも取り組む。世代間交流を軸に、平一小で未来創造ミーティングと題し、子どもと大人が自由に意見を交わす試みを展開。トークフォークダンスという形式を採用し、向かい合った人同士がお題に答えて1分ずつ話しながら、互いの関わりを深める。
 どれも献身的だが、霜村さんは「行き当たりばったり」と笑う。この街が少しでも輝いてほしいと、きょうも奔走している。
 (写真1枚目:これまでの活動を振り返る霜村さん 2枚目:平一小で行ったトークフォークダンス)

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