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いわき駅前大通り 住民主体で県内初「ほこみち」に指定 歩道活用で活性化期待
県は20日、いわき市平字大町―平字田町のいわき駅前大通り(国道399号)について、歩道の有効活用が可能となる制度「歩行者利便増進道路(ほこみち)」に県内で初めて指定した。
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに始まった制度で、歩道を使ったまちづくりやにぎわい創出を後押しする。歩道にオープンカフェやテラス席などを自由に設置できるほか、空間を利用したイベントも容易となる。
国土交通省によると、ほこみちは全国に139カ所(昨年3月現在)あり、東北地方では2021(令和3)年8月に岩手県盛岡市で初めて指定された。従来の制度では難しかった道路での営業活動も容易になり、公募で認められると、最大で20年にわたって使用できる。
いわき駅前大通りの指定区間は416m。実際に催しなどを行う誘導区域7カ所に関しては、20日から30日間の縦覧(窓口は県いわき建設事務所)を経て、3月24日に指定される見通し。
いわき市では地域住民が主体となって構想を抱き、行政と連携したワークショップや、実際にほこみちを想定した社会実験「いわき駅前公園化計画」を進めてきた。
こうした動きを先導した一人が、平字三町目の「ゲストハウス&ラウンジFARO(ファロ)」オーナー・北林由布子さん。いわき駅前のにぎわいを取り戻そうと、年代や組織の垣根を越えて意見交換の場を創出し、ほこみちの実現を目指してきた。
もともと生まれ育った平のまちなかを元気にしたいという思いであふれ、イタリアンカフェダイニング「La Stanza(スタンツァ)」の営業の傍ら、マルシェイベント「三町目ジャンボリー」や、平・本町通りでの歩行者天国などを企画してきた北林さん。コロナ禍の中でゲストハウス・ラウンジのファロをオープンし、次の世代にまちを引き継ぐ大切さを説いてきた。
また、ほこみちの窓口となる組織「NPO法人タイラボ」を立ち上げ、4月から運営の先頭に立つ。北林さんは指定を受け、「多くの方にほこみちを利用してもらい、このまちを楽しんでほしい」と呼びかける。
社会実験では歩道にキッチンカーやアートスペースが軒を連ねたほか、机やベンチといったストリートファニチャー、ハンモックが設置された。さらに夜間にはたき火を囲むイベントもあり、多彩なアイデアがまちを包んだ。正式に指定されたことで、新たな発想でまちがより盛り上がることが期待される。
(写真:社会実験で設置されたストリートファニチャー=いわき駅前公園化計画事務局提供)