いわき市の若手職員を中心としたワーキンググループ「IWAKI NEXT」が、AI(人工知能)とデータの見える化をテーマにした報告を取りまとめた。AIについてはさらなる展開を模索し、データの見える化に対しては部署を横断して各種統計を利用する考えなどが示された。内田市長は「通常の政策作りのプロセスと異なり、ボトムアップ(下意上達)で立場にとらわれず提言してくれてうれしい」と話している。
市構造改革・DX推進課によると、ワーキンググループには主事から主査までの職員が参加。さまざまなミッション(命題)から、市の新たな事業につなげていく試みで、2021(令和3)年度から人材の強化を柱に、テレワークや庁外のサテライトオフィス勤務を活用しながら、効果的な働き方の検証も進めてきた。
本来の業務に加えた本務と位置付け、多様なデータを可視化させる「BI(ビジネスインテリジェンス)ツール」や、私物のパソコンやスマートフォンを業務に用いる「BYOD」といった最新デジタルツールの活用検証も兼ねている。
3年目は昨年8月から始まり、11人の職員が取り組んだ。AIに関しては、市は昨年4月から対話型の「Chat(チャット)GPT」を本格的に使っているため、ワーキンググループでは現場での実態を確認。報告ではAIによる文字認識(OCR)や、AIを使った庁内でのよくある質問(FAQ)に発展する案が示された。
データの見える化は、市の持っている各種統計を庁内外で生かしていくアイデアが伝えられた。個別のデータを部課の垣根を越えて共有するとともに、市内の事業者にも利用してもらうことが想定される。
内田市長は自らが標ぼうする教育の充実に反映できると期待。「個人を特定できない形で、別々の部署が持つ子どもの学力と保護者の所得をビックデータ化し、経済的に厳しい家庭の基礎学力をエリアごとに把握することで、きめ細かい政策が実現できる」と語った。その上で2つの報告を踏まえ、「ソフトの導入やオープンデータに向けては費用がかかるので、予算措置を適宜行っていきたい」と述べた。
過去2年の政策ではワーキンググループの意見を基に、小名浜地区で公共施設の適正化を念頭にした市民対話のトークシェアミーティングを開催。伝える・伝わる広報として「広報いわき」のリニューアルにつながった。
(写真:内田市長を囲むワーキンググループの職員)
ニュース
いわき市の若手職員中心に取りまとめ AI、データ見える化推進を
