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いわき市森林組合 CO2排出枠売買の認証へ 脱炭素と適正管理の両立を
市森林組合は本年度、二酸化炭素(CO2)の排出吸収量について、クレジット(排出枠)として売買できるようにする「J―クレジット」の認証を目指す。地元のガス会社にクレジットを購入してもらい、その収益を手数料を除いて森林所有者に還元することで、脱炭素社会の実現と適正な森林管理の両立を図っていく。
こうした動きを支えるため、市や地元関係者、農林中央金庫などを交えた「カーボンニュートラル・ふくしまいわき森守(もりもり)プロジェクト」が15日に始動した。
森守プロジェクトは市森林組合、県森林組合連合会、全国森林組合連合会、東部ガス、常磐共同ガス、農林中央金庫、いわき商工会議所、市の8者で構成されている。
15日には市役所本庁舎で連携協定の締結式が行われ、田子英司組合長(県森林組合連合会長)らが出席して協定書を交わした。
協定の背景には、原木の価格と森林維持の経費が釣り合わない現状にある中で、産業界2050年までに温室効果ガスの排出量ゼロを目指す「カーボンニュートラル」に取り組んでいるため、クレジットを購入すれば排出量を削減したとみなせると注目したことにある。
いわき市では2022(令和4)年から、いわき商工会議所が田子組合長を交えながら導入を探っており、市に提言も提出していた。
田子組合長は「林業にかかわるすべての事業者がより良い方向に行き、温暖化対策についても成果を上げるため、J―クレジットに取り組んでいきたい」と話す。また 森林所有者がJ―クレジットで収益を得ることは、おのずと適切な森林管理につながり、自然災害に対する備えにもなるという。
J―クレジットにあたっては農林中央金庫は売買を仲立ちし、地元の面から市、いわき商工会議所が支援する。
初年度は三和町中寺の民有林(約518ha)を対象とし、6月にも市森林組合から申請。早ければ本年度中の国による認証を受ける。
いわき市の森林面積は約8万9千平方haで、市内全域の約72%に相当する。森守プロジェクトでは「森林都市・いわきから、広く脱炭素社会の機運を高めてほしい」と呼びかける。
(写真:森守プロジェクトに関する8者による協定)