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いわき信用組合 不正融資問題巡り経営陣刷新 新理事長に金成茂氏
旧経営陣による不正融資問題が発覚した「いわき信用組合」(小名浜花畑町)は13日、組織の再生を目指した新たな経営陣を決定し、理事長には経理部長兼総合企画部副部長の金成茂氏(57)が選ばれた。
同日に鹿島町で開かれた総代会・理事会で決まり、現理事長の本多洋八氏(64)ら役員7人は退任した。
いわき信組は無断で預金者の口座を作ってそこに融資する形(無断借名融資)で、大口取引先に対する資金をねん出するなど、20年にわたって247億円以上の不正を行っていたとされ、前代未聞の事態に市内外から厳しい視線が向けられる中で新たな船出となる。
金成氏はいわき市出身。磐城高卒。1991(平成3)年1月に入組。信頼回復に向け、▽不祥事件のさらなる事実関係の精査および真相究明の徹底▽経営責任の明確化▽経営監視体制の確立▽企業風土の改善(コンプライアンス意識の醸成・徹底)▽内部管理態勢の確立――の5本柱を掲げた。
職員から抜擢されることには批判もあったが、「企業風土の改善が必要で、風通しの良い組織がつくれる」と強調。理事長・会長を務め、不正融資を主導したとされる江尻次郎氏(77)らによる「常軌を逸した上意下達の風土」(第三者委員会の報告書より)を打ち破ると強調した。
勝手に名義を使われた人に対しては、直接の謝罪を始めていると説明。今後も理事や関係する支店長と連携し、一人ひとりのもとへ出向くと述べた。
また旧経営陣に対しては、損害賠償請求の民事訴訟を提起する方針を示した。
新役員のうち常務理事には、総合企画部副部長の菅波茂氏(64)が就くとともに、上部組織の全国信用協同組合連合会(全信組連)から常勤理事の森貞隆之氏(52)が招へいされた。
ガバナンス(統治)の観点から非常勤理事として公認会計士の丹野勇雄氏(60)、社会保険労務士の奥瀬円氏(58)が招かれた。
その他の役員は次の通り。なお金成氏によると、自身を含め生え抜きの新役員で一連の不正にかかわった人物はいないという。
▽常勤理事=片野憲一 持舘久徳(新任)▽非常勤理事=清水淳子 猪狩達宏▽常勤監事=野村貢(新任)▽非常勤監事=武藤行典▽員外監事=国井達夫
(写真:組織の再生について説明する金成新理事長=中央)