市は25日、野球による地域創生を目指した取り組み「いわき甲子園プロジェクト」を立ち上げると発表した。いわき市は小・中学生の野球が盛んなことで知られ、東北大会や全国大会でも結果を残しており、プロ野球選手も輩出しているが、高校生になると県外の強豪校に進学するケースが目立つ。
そのため「甲子園」という分かりやすい目標を掲げながら、地元で大成してもらう環境を構築し、将来のいわき市の担い手として定着してもらうことを狙いとしている。内田市長が同日、定例記者会見で発表した。
プロジェクトは7月2日に実行委員会が発足し、市スポーツ振興課を中心に、スポーツ少年団や中体連、高野連、南東北大学野球連盟、いわき野球連盟をはじめ、年代ごとの競技団体や組織と連携。地域が一体となって野球の振興に努めながら、将来にわたる展望を子どもたちに示していく。
アンバサダーとして、元プロ野球選手・東北楽天前監督の今江敏晃さんを招へいする。今江さんは千葉ロッテ選手時代の2011(平成23)年、東日本大震災の被災地支援の一環で来市して以来、いわき市とは継続的なかかわりを持ち、野球教室の開催に加え、プロ野球の試合に市内の野球少年・少女を招待するなど精力的に活動している。
初年度の取り組みとしては、市内の小学6年生を対象に高校野球の観戦を支援。7月22日にヨークいわきスタジアムで行われる高校野球福島大会・準決勝に対するバス代を補助するほか、8月7、8日には150人を本大会に連れて行く。
高校野球を巡っては指導者も重要となるが、県立高に関して、内田市長は県教委に教員の人事異動が柔軟になるよう要請するといい、「福島大会の決勝がいわき市勢同士の対決となるような日が来てほしい。いわきの小・中学生が地元に残ってくれれば可能と確信している」と呼びかける。
運営費は関係者からの浄財を主にするが、必要に応じて一般会計補正予算を組む方針を示す。
一方でさまざまなスポーツ・文化活動がある中で、行政が野球の支援に特化することには疑問が生じる。
この点に対し、内田市長は「しっかりと市民に説明をしていきたいと思う。野球は他のスポーツや合唱、吹奏楽と異なり、高校年代での流出が著しいととらえている。小・中学生やその保護者からは、地元に受け皿があってほしいとの声が聞かれている」と理解を求めた。
(資料写真:アンバサダーに就任する今江敏晃さん)
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野球による地域創生を いわき甲子園プロジェクト発足へ 若者定着の一助に
