いわき市錦町に主力工場を置く化学メーカー・クレハは「防災クレラップ」の販売を始めた。背景には、東日本大震災や能登半島地震の被災地から「ラップが役立った」という声が寄せられたことにある。
特に震災の際には錦町のいわき事業者が被災しながらも、東京の本社からいち早く福島県や宮城県に「NEWクレラップ」を提供し、住民の生活を支えた記録が残っているという。
災害時は水不足で食器を洗うことが困難となり、いわき市も震災時に最長で1カ月超にわたって断水したが、皿の上にラップを敷いて汚さずに済んだエピソードは良く聞く。こうした点を踏まえ、広く消費者に防災について理解を深めてもらう狙いのクレラップを手がけた。

クレラップは1960(昭和35)年7月、日本で最初に発売された家庭用食品包装ラップで、防災をうたうキッチン用品は初。
発売にあたってはNPO法人日本防災環境が監修し、防災関係者や関係機関の意見を交えながら完成させた。同会は企業や自治体に向け、防災計画や対応マニュアル作成の支援等を展開している。
規格は防災バッグに入れやすいミニ(22cm)。安心してたくさん使えるよう50mで、平らな金属刃を採用した。
パッケージには災害時にクレラップがどのように活用できるか一目で分かるよう写真を掲載。節水の用途のみならず、クレラップは水蒸気を通さない力が強いため、身体に巻くと体温の維持に役立つことに加え、においを抑制する働き、壁に貼って伝言板としての活用も伝えている。
また災害時伝言ダイヤルや、国土交通省ハザードマップにアクセスできる二次元コードも載せている。
通常のクレラップと同じように使えるため、「いつものラップが、“もしも”の備えに。」のフレーズで、防災グッズの1アイテムとして、家庭に1本備えてほしいと呼びかける。
クレハの担当者は「多くの皆さんにクレラップが防災に役立つことを知ってもらいたい。そのためパッケージの防災情報の掲載にも工夫した」と話す。
今後も防災をテーマにしたキッチン用品の開発を検討しているほか、防災クレラップの活用方法を自社サイト・SNSで紹介していく予定。
防災クレラップは全国のスーパーマーケット、ドラッグストア、EC(電子商取引)サイトで取り扱い中。オープン価格。
(写真:新たに発売した「防災クレラップ」、画像:活用法4選)






