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スパリゾートハワイアンズ60年 カレイナニ早川さんに聞く(下)
今年1月に60年を迎えるスパリゾートハワイアンズ。ダンシングチームを支えてきたカレイナニ早川さんへのインタビューの後半を送る。(前半はこちら)
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初代メンバー(1期生)たちは、俳優の蒼井優さんが演じた映画「フラガール」の主人公「谷川紀美子」のモデルとなった、初代リーダーの小野恵美子さんをはじめ18人の少女たち。全員がずぶの素人だったが、常磐炭礦副社長の中村豊氏からは「3カ月でものにしてくれ」と頼まれた。
そして踊りを教えるだけでなく、「人としての基礎も鍛えてほしい」と。「この子たちに愛情を注いでほしい。地域の協力がなければ、土地の方々に愛さなければ立ち行かなくなる。町の繁栄がハワイアンセンターの繁栄。『共存共栄』こそが生きる道だ」
常磐炭礦の社員と家族を救う、起死回生の一手。映画と同様、メンバーたちはオープン前にキャラバンを敢行してフラを披露する。「炭鉱の娘を裸にさせて」との偏見や疑問、反対の声は根強く、中村氏には常に屈強なボディーガードが付くほど向かい風は激しかったが、1期生や支える大人たちの懸命な姿が見る目を変えていった。その思いに応えられるよう、早川さんは必死に学び、指導にも熱を入れた。
1966(昭和41)年1月。初ステージを踏む教え子たちの姿を前にし、早川さんの目には自然と涙があふれた。
先駆者の思いが、60年という長きにわたり愛され、『東北のハワイ』『フラの聖地』と称され、絶大な支持を受けるまでに成長した温泉リゾートの礎を築いた。中村氏が語ったひと言が忘れられない。
「この土地の愛情によってウチが成り立っている。『永遠に残るよ』」
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東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故、そしてコロナ禍と未曽有の事態に遭い、休館を余儀なくされながらも、スパリゾートハワイアンズ、そしてフラガールたちはその都度、逆境を乗り越えてきた。
復興に向けて一歩を踏み出した福島、東北の人たちの思いを伝えようと、2011(平成23)年5月から10月にかけ、全国26都府県と韓国・ソウル市を含む計125カ所で、247回もの公演を行った「きずなキャラバン」。
なかには双葉町にあった実家とふるさとを失いながら、気丈にもステージに立ち、笑顔と元気を届けるメンバーの姿も。早川さんは、中村氏が常々言葉にしてきた「愛を持つことの大切さ」を受け継ぎ、行く先々で愛情たっぷりの踊りをみせる教え子たちの姿に1期生の姿を重ね、心が打ち震えた。
「本当に、本当にあの子たちは良くやってくれました」
早川さんが指導のために月に一度足を運んでいる九州では、キャラバンを見たフラの指導者たちがその思いを受け継ぎ、2013年に「Remember3・11 九州フラガールキャラバン隊」を結成した。
被災地を支援するための募金活動に取り組み、ハワイのNPO法人と連携して被災地の子どもたちをハワイに招待する慈善活動にもつながった。活動はその後、全国各地で発生する自然災害の被災地への支援へと続き、今では九州でのフラは福島に次ぐ活況をみせているという。
そして早川さんがまいた種は、小野恵美子さんら教え子や地域の人たちが愛情を込めて育て、フラガールにあこがれる全国の高校生たちが目指す「フラガールズ甲子園」にもつながっていく。
(写真:中村豊氏との思い出を振り返るカレイナニ早川さん)